フィラリアの正体と感染の仕方

フィラリアってどんな寄生虫?  犬に寄生するフィラリアで、日本でよく知られている種類は、 犬糸状虫です。(心臓に寄生するので心臓糸状虫ともいいます)

犬糸状虫の成熟虫は右心室や肺動脈内で血液中に寄生し ていて、犬きさは平均体長は雌28cm、雄15cmで、 乳白色の細長いそうめん状の形をした虫です。 写真を見たいかたは→犬糸状虫の写真

どのようにして犬に感染するかというと 心臓内でフィラリアの成熟虫の雄と雌か交尾し、雌虫から子虫が産み出されます。 フィラリアの子虫は体長が約0.3mmで活発に運動し、血の循環に 乗って流れていて蚊の体内に取り込まれる機会を待ちます。

子虫の寿命は長く、1,2年間は生存します。

犬糸状虫(フィラリア)は蚊の媒介によってのみ感染しますが、 媒介する蚊の主なものは アカイエカヒトスジシマカなどよく見るごく普通の種類です。

蚊の活躍する夏の季節に、吸血によって血液とともに 蚊の体内に入った子虫は、約2週間で発育を完了し、 犬への感染能力を持った体長約1mmの成熟子虫(感染子虫)となります。 成熟子虫は蚊が血を吸うときに蚊から説出して犬の皮膚内へ侵入し、 犬の体内へ感染してしまいます。 犬の体内に侵入し発育を開始した幼虫は皮下、脂肪組織や 筋肉内、腹膜下などの場所を移勤しながら約3,4ヵ月間発育を続けて、 体長が約3〜11cmに達します。 この幼虫はやがて静脈内に入り、最終の寄生場所である右心室に移行します。 右心室に移行したばかりの虫は、細い絹糸のような感じで 未成熟虫と呼ばれ、右心室、肺動脈内で約3ヵ月間発育して成熟虫になります。 したがって、成熟子虫が蚊から感染してから成熟虫となるまでには約6,7ヵ月の期間 を必要としますが、心臓糸状虫がひとたび右心室内に寄生した成熟虫は、約5,6年間は生存します。
恐ろしいですね・・・。

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フィラリア感染の条件と時期

フィラリア感染の条件
@子虫保有犬が存在する
A媒介する蚊が分布する
B夏季に約25度前後の気温が2週間以上継続する
この3つの条件かそろわなければフィラリア感染はありえません。

フィラリア感染時期
自然感染の時期は、ほぼ6月から10月までで、 特に感染の激しい時期は7月8月9月の3ヵ月間です。

フィラリア感染は犬の飼育環境にも関係します。 蚊に刺されやすい環境にある屋外で飼育される犬種では寄生率が高く、 蚊に刺されにくい環境にある室内で飼育される犬種では寄生率は低いです。 犬の性別、被毛の長短、毛色などによる寄生率の差はありません。 長毛犬だから蚊に刺されないだろうと思ってはいけません。

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フィラリアに感染した犬の症状

犬糸状虫寄生犬に通常みられる症状は、
★栄養障害
★栄養障害から抜毛
★毛づやが悪くなる
★運動すると疲労が激しい
★元気減少
★セキ
★呼吸困難
★貧血
★腹部が膨らむ
★黄疸
★尿が赤くなる(血管内で赤血球が破壊されて、赤血球に含まれ る血色素が尿中に排出されるので、尿が赤くなる)
フィラリアが寄生している犬の約半数に、これら症状のいずれかがみられます。

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フィラリア診断

一般的にフィラリア(犬糸状虫)が寄生していると 強いけいれん性のセキ、 慢性の皮膚炎が背部に出る、 毛折れ、 栄養不良、 運動力の低下 などが症状として出るといわれていますが これらの症状だけでフィラリア(犬糸状虫)が寄生しているかどうかを 正確に判断することはできません。 フィラリア(犬糸状虫)の寄生によって病気の進行がある程度進めば 上記の症状が外に現われますが、外観的な症状がなくても体内では じょじょに悪化が進んでいることがありますから、 やはり、獣医師による正確な診断を受けなければなりません。 獣医師による正確な診断を受け、寄生しているかどうかを知り もし寄生しているのならばその進行具合を知り 適切な対応をしてもらう必要があります。 寄生の確認には血液検査によって血液中の子虫の検出を行ないます。 しかし、子虫が検出できないのに成熟虫か寄生していることもありますから、 ほかに心電図、心・肺のX線検査、一般所見なども合わせて 総合的に診断が行なわれます。

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